
どんより天気のマンチェスターでコーヒーと歴史を味わう
その昔、産業革命の中心地として綿工業で栄えたマンチェスター。今でもその面影のある建物が多く残り、その一部を改装したお店やカフェなどを見つけることができます。
工業的で無機質なインダストリアルの雰囲気のあるお店も点在しています。そして冬の間は日中はどんより曇り空または雨、とても日が短く3時過ぎにはもう暗くなってくるここマンチェスター。
カフェで飲むあたたかいコーヒーは人々の心をも温めてくれるのです。イギリスといえば紅茶のイメージですが、コーヒーもおいしくいただくことができます。
特に今年の12月は、光熱費の高騰に追い打ちをかけるように氷点下まで下がる日もあり、身も心も凍りつくような日々が続いています。そんなある日マンチェスター市内を歩いていると、セント・アンズ・スクエアという広場に出ました。
セント・アンズ・スクエアは、長い歴史のある広場だそうです。少しだけ調べてみました。
この広場は、1222 年にヘンリー 3 世によって土地の使用許可を与えられたことから歴史が始まります。13 世紀には、牛、羊、豚、馬などを販売する市場として使用され、村全体に大きな利益をもたらす重要なイベントが開催されていました。
しかし17 世紀にマンチェスターが町として成長し始めたときには、開発の圧力がかけられてしまいました。
1708 年、このエリアに聖アン教会の建設を許可した議会法は、幅 30 ヤードのスペースを見本市用に確保することも規定しました。これがセント・アンズ・スクエアとなり、2 世紀以上にわたってマンチェスターの綿花取引所の本拠地となりました。
ロイヤルエクスチェンジ(王立取引所)もここに位置しています。そして現在この周辺は、マンチェスターで最もファッショナブルなお店が集まるショッピング地区へと発展しました。
今も昔も、人々にとって重要な取引の場になっているということのようです。
そんな歴史に思いをはせながら白と黒で塗られた伝統的な建物の間を歩いていると、バートンアーケードが現れました。ヴィクトリア朝の時代を感じる、1871年に建てられたというこのアーケード。
現在は内部にいくつかのショップやカフェが並んでいます。そのなかのひとつ、「POT KETTLE BLACK」というお店を訪れてみました。
店内はむき出しのパイプや木目のみえる木のテーブルや椅子が配置され、インダストリアルな雰囲気がありつつナチュラルで明るく、ぬくもりを感じるつくりとなっています。
メニューはちょっとおしゃれでモダンなブリティッシュ料理といった感じ。軽めの食事も楽しめます。抹茶もありましたがシナモンが効いてて日本の味とはちょっと違いました。
彼らは自家製のパンにこだわりがあるようです。お店で焼いたパンやケーキ、焼き菓子を、コーヒーと同じくらいおいしくいただくことができます。マンチェスター工場の小麦粉、ノルマンディーのバター、イランのピスタチオ、ベルギーのチョコレートなど、産地や原料にこだわって最高のパンを作っているとのこと。
フレンドリーなお店のスタッフが滞在を心地がいいものにしてくれます。彼らは素晴らしいコーヒーと健康的な食べ物とともに過ごす、ゆったりとした時間の大切さを知っています。太陽に恵まれないマンチェスターのどんよりとした天気も、冬の凍りつく寒さも笑い飛ばし、暖かいカフェで人々が癒やされる時間を今日も提供してくれています。
イギリスでは建物にも広場にも道にも歴史があり、昔の人々の暮らしを垣間見ることができるような気がします。長い歴史を一度に学ぶのは大変ですが、すてきなお店を開拓しながらあたたかいコーヒーを飲み、その街の歴史や伝統に思いを巡らせる。そんな時間を大切にしていきたいと思っています。
参照URL
https://potkettleblackltd.co.uk/
https://www.manchester.gov.uk/info/511/conservation_areas/144/st_anns_square_conservation_area/2