
朝鮮時代の建築物がそのまま残る美しい街、慶尚北道(キョンサンプクト)安東(アンドン)
写真:安東市ファチョンソウォン伝統宿舎
突然ですが、韓国の歴史ドラマを見たことがありますか?歴史ドラマに出てくる、いかにも韓国らしい写真のような家は、首都ソウルにもわずかに残されているのですが、韓国の中で1番多く重要文化財があるところが、慶尚北道(キョンサンプクト)の安東(アンドン)市です。
この街は韓国歴史ドラマのファンであれば、一度訪れたら誰もが感動をするほど、伝統的な韓国らしさが1番残っています。そして、街全体で重要文化財を保護しよう、観光客にもっと昔の韓国の姿を知ってもらおうとする人々の気持ちを感じることができる素敵な街なんです。
安東市はソウルからKTX(各主要都市を結ぶ高速鉄道)に乗って約2時間で到着することができて、ソウルから見れば南東にあります。ソウルのようなビルやマンション、きらびやかなネオンは当然なく、空が高くて緑が多い、どことなく日本の田舎を感じさせてくれる街なんです。もちろん現代を生きる人々が住んでいるので、生活に必要なスーパーや衣料品店、カフェなどはあるのですが、市の中心地にも関わらず、伝統的な建物がしっかり残されています。
出典:NAVER地図
その代表とも言えるのが、安東市の中心地にある安東民俗村です。入場料もないので、誰でも気軽に散策することができるんです。朝鮮時代に両班(ヤンバン)と呼ばれる身分の高い人たちが住んでいた瓦の屋根をもつ建物が、現在は改造されてカフェとしても使われています。
近くの川を散歩していると、鳥の鳴き声、虫の音がひっきりなしに聞こえます。池には昔から韓国が大切にしている蓮の花が浮かんでいます。今から500年以上も前になる朝鮮時代の人々も、その辺りを歩いているんじゃないかと思うような景色がこの街にはあるんです。
写真:安東民俗村敷地内
安東市には有名な書院が2つあるのですが、そのうちの一つがユネスコ世界文化遺産にも登録されている、屏山書院(ビョンサンソウォン)です。朝鮮時代よりも前から、儒学者の教育の場として、立教堂(イッキョダン)と呼ばれるこの部屋で、先生が学生に学問を教えていた場所です。
この日は雨が降っていたのですが、騒々しい音もなく静かな雨音と鳥の鳴き声だけが聞こえてきて、本を読んだり、何かに集中するにはピッタリの場所でした。こんなふうに昔の人たちも勉強したり、国のために頑張ってきたのかな?と想いを馳せることができる不思議なところでした。
写真:屏山書院
さて、安東市の街中散策に疲れた後は、韓国ではお決まりのカフェで一休みです。安東市にもやはり素敵なカフェがたくさんあるんです。安東市の名にふさわしい伝統家屋をイメージして建てられたカフェが多いのですが、その中でも有名なカフェのひとつが、「ウォルヨンタン」です。カフェの屋根の上にある月に気づきましたか?実はこのカフェの目の前に、月映橋(ウォルヨンキョウ)という、夜になると光り輝く橋があるんです。その橋をカフェから見ることができるので、それを元にして月をテーマにしたカフェなのですが、本当にきれいだと思いませんか?カフェの中に入っても、木材をいっぱい使うことで、どこか温かさを感じられる空間を見事に作り出しています。
リンク:https://www.instagram.com/wolyeongdang/
月映橋も安東市の観光スポットのひとつで、2003年に開通してからたくさんの観光客が訪れています。夜になると幻想的な空気を醸し出してくれる素敵な場所なんです。安東湖にかかる木造の橋は歩くことができて、夜景が美しいことで有名です。夏の夜は虫の声が加わってさらに味わい深さを感じることができます。
さて、安東市はいかがだったでしょうか。ソウルの喧騒から離れた韓国の伝統都市は、今日も世界中の人々に韓国の伝統文化を語り継ぐべく、建築物や文化を守り続けています。