エジプトの冬
はじめまして。
この度コラムを書かせていただくことになりました、奥田みるです。
エジプトはカイロに住み、早くも3年半が経過しました。
これまで多くの国を留学や旅行などで訪れましたが、これほど長く滞在している国はエジプトが初めてです。
アフリカ大陸であり、中東文化圏でもある不思議な位置づけのエジプト。
エジプトといえばピラミッドやスフィンクスなどを想像される方が多いでしょう。
首都カイロは大都会で人口密度が高く、人の声はもちろん、交通渋滞が多いことからクラクション音も町中鳴り響いています。一日に何度も、モスクからお祈りの放送も流れます。
そんなカイロの喧騒に疲れたら、オアシスを訪れると心が落ち着きます。
カイロから少し離れると、砂漠の国エジプトにはオアシスがいくつかあるのです。
年末の週末を利用し、私も先日行ってまいりました。
夏場は最高気温40度を超えるエジプト。
砂漠の中は太陽が照り付け、より猛暑になるため、このオアシス散策は冬のお楽しみ。
エジプトの冬は日本に比べあたたかく、最高気温20度、最低気温も10度ほどで過ごしやすい気候です。
また、雨が降ることがほとんどなく(年に1,2度)、天気を気にせず外出できるところが、エジプト暮らしでのお気に入りポイント。毎朝晴天を見ると元気が出ます。
こちらはカイロから南西に向かうとたどり着く、バハレイヤオアシス。
ただの砂ではなく、こちらは火山によってできた『黒砂漠』と呼ばれるもの。
バハレイヤでは様々な独特の砂漠が見られます。
山を登って見下ろすと、素晴らしい絶景が待っていました。
散策していると目にしたのは、『マッシュルームとチキン』と呼ばれているらしいオブジェ。
偶然とはいえ、どうしてこのような形になったのかが興味深い。
昔は海底の地だったことから、石灰の塊でできています。
こちらはうさぎ。
今年はうさぎ年なので、新年のあいさつに使おうかしら、なんて。
建物はもちろん、電波すらなく、
ただただどこまでも続く壮大な砂漠の中にいる自分は、何ともちっぽけな存在に思えてきます。
そして突如現れる、いくつもの湧き出るオアシス。硫黄の香りが漂います。
海外は湯船のないシャワーだけの家が多いですから、温泉なんて日本ぶり。
ぬるいものから熱いものまでさまざま。身体が芯から温まりました。
夕方になると日が沈み始め、地平線に見える美しい夕焼けを眺めました。
夜は火をおこして、持参した肉や野菜をグリルしたり煮込んだり、米を炊いたり。
原始時代は皆こうして調理していたのかと思うと大変。
日が落ちきったら、夜空を見上げると無数の星が。
冬の大三角形なども探しましたが、空が暗くなるにつれどんどん星が現れ、探すのも一苦労。
ずっと見上げていると首が痛くなるので(笑)じゅうたんを敷き、寝転んで天体観測。
流れ星も見られましたが、あっ!なんて言っている間に消えてしまいました。お願い事はできず…
自然が作り出すこの美しい景色に感動を覚えます。
何もない静寂な自然の砂漠で時を過ごすと、普段私たちがいかに便利な生活を送っているかを実感できます。
また、世界の広さを体感でき、これまでの自分の悩みがとても小さなものに思えたり。
大きく深呼吸し、気持ちがすっと落ち着きました。
いろんな考え事をしながらオアシスを後にし、カイロへ戻ったのでした。
リフレッシュしてしっかりパワーチャージされたので、私もまた新年から気持ち新たに1年頑張ろうと思います。